2025年11月15日更新(2025年11月23日ページ移動)

──2025年11月第3週のニュース──

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11月15日(土) 歴史ある街の特徴を生かした、「一つ」の再生 ──高田は、奥が深い(3)──

 間が空いてしまいましたが、高田のお話を。「一つ」については後述。

 一部繰り返しになりますが、この日、高田駅で下車したセンセイは本町通りを北へ。「町屋交流会館 高田小町」や「高田世界館」は駅から徒歩10分弱。同じくらい歩くと、小川未明の生誕地や碑に到ります。
 帰りの電車の関係で、旧高田市に滞在できるのは約1時間。

 そこで少しルートを旧市街地を南下します。途中、かつて柏崎市の中心部にあった「紺太」(「上越紺太」)というお店を見つけてびっくり。
 「紺太」は当地で創業した衣料品店で、ピーク時には4階建てのビルを構えていました。

 旧市街地中心部の空洞化進行とともに客足が減少した上に、新潟県中越沖地震で壊滅的な被害を受けてお店はなくなってしまいました。
 拠点を高田に移していらっしゃったんですね。
(「高田本町 百年商店街」のサイトに紹介記事あり)

 もう少し歩いたところで時間切れ。右折して高田駅を目指します。儀明川を渡ったところあるのが写真の建物。拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))
 ずいぶん年季の入った...あれっ?!

 都市部の方なら建物側面の、古い「トタン」板(亜鉛鉄板)に目が行くのではないかと思います。それは当然なのですが、ここで一般論を補足する必要が。
 お伝えしたように、高田の旧市街地は町屋が連なっています。

 要するに長屋形式なので、両端を除くと外壁がありません。何らかの事情でその中の一戸を解体すると、そこに外壁を設ける必要が。
 トタン板はそんな場面で外壁材あるいは屋根材として用いられます。町屋ではごく普通に目にします。

 でも、よぉーく見ると、それ以外の部分はずいぶん新しい。道路脇の看板には「多賀 茶焙煎所 1F ゲストハウス 2F」と記されています。
 お察しの通り、リノベーションされた建物。かつては芸者の置屋だったそうで壁面のトタン板
(本物)はデザイン。

 右の写真は道路から撮影した1階。お茶や米菓、和菓子を飲食できるだけでなく、茶器を含めて購入オンラインショップできるようです。拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))
 センセイの下手な紹介よりも、まずはサイトをご覧ください。

 高田の方々が、その歴史と文化を重視、尊重し、形を変えつつも後世に...と考えていらっしゃることが良くわかります。でも「多賀」についてはちょっとできすぎの感も。
 特に、相当な資金を要したはず。

 今回、「上越妙高タウン情報」で初めて知ったのですが「多賀」は開設にあたり、市内の「楽酔亭」と合わせて観光庁から約3,600万円の補助を受けたとのこと。つまりこの時点で「一つ」ではない。(決して両施設の取り組みを批判しているわけではないので、誤解なきよう)
 徹底した造り込みも、補助金を考えれば得心がいきます。

 お察しのように、補助金頼りなら歴史と文化という特徴を生かした「街」の保存と活用は困難。

 ところが、ここが高田の奥深さ。何と、補助金なし──たぶん──の取り組みも。つまり「一つ」ではない。(再)

 続きますが、間が空くかもしれません。悪しからず。



11月14日(金) これぞ、ふだんの姿 ──餌を啄むハクチョウの様子を、間近から撮影しました──

 予定を変更して、タイトルのお話を。

 金曜日なので両親の面倒を看るべく実家へ。1ヶ月以上変則的なパターンが続いていましたが今日はノーマル。でも来週、再来週と再び変則行動。こうなるともう、何が「普通」なのかわからなくなってきます。
 早い昼食を含めて、午前中に自分の用を片付けます。

 車を出すと、まずガソリンスタンドへ。燃費測定も兼ねてセンセイは通常、最低限の燃料しか入れていないのです(何が起こるかわからない冬場を除く)。さて、どうなったかなぁーと思っていたことが一つ。
 ガソリン価格です。

 報道(全文を読むためには登録が必要))されているようにガソリンに掛けられてた暫定税率廃止の一環として、今日から補助金が5円引き上げられるのです。いつものガソリンスタンドの場合、レギュラー/ハイオクともに5円安くなっていました。
 後述する理由で周囲を良く見ながら運転し、実家へ。

 一昨日の妄言(もうげん)が繰り返されるかと警戒しました──対策は考えておいた──が、今日の父親はおとなしい(たぶん一昨日のことを覚えていない)。あれは何だったんだ。まぁ、彼のことだから、どうせ蒸し返すに決まっていますが...。
 一方的に話す母親を後部座席に乗せて、二人の1週間分の食料その他を調達すべく近くのスーパーへ。

 引き続き周囲に注意を払っていると、あ"っ...。100羽くらいのハクチョウの群が田圃の中で静かに餌を啄んでいます。実家までの田圃やねぐらでも注意していたのです。
 でも飛行中の数羽を除き、その姿を確認できず。

 緊張感はまったくない。つまり移動はせず、しばらく留まったまま。しかも今回は幹線農道のすぐ近く(!!)。そこで帰路、親戚の用を済ませてから再び「現場」へ。
 ハクチョウに刺激を与えたくないので、車内から群の一部を撮影したのが写真。
拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))

 先日に引き続き、「」望遠レンズ(“EF70-300mm F4-5.6 IS II USM”)で撮影しています。焦点距離は約130mm(35mm換算)だったので常用する「」望遠レンズはもちろん、コンパクトデジカメも守備範囲。
 ただし写真的には、やや問題が。

 ヒストグラム(明るさの分布)を目で追いつつ撮影したのですが、羽の色が白飛びしかかっています。再確認しましたが、データ上はまだ余裕があることになっています。(ただしB(青)だけは飽和寸前)
 また、全体的に青味みがかっており、少し冷たい印象を受けます。

 これは撮影時に雲がかかっていたため。晴れ間を待てばもっと良い写真になったのでしょうが、何より生物相手だし、刺激もしたくない。オマケにいくら農道とはいえ、幹線なので営農車や工事用車両が割と行き来します。
 数枚撮影しただけでその場を離れました。

 今日のハクチョウは結果的に、「白く、キレイ」──撮影テクニックは問わぬよう──と感じられるかもしれません。でも実は、先日あるいはこちらの方が実際に近い。ハクチョウの羽の色は、もっと「ふくよか」なのです。
 しかも最も肝心なのは「映り」ではなく、ハクチョウの様子。

 手前のハクチョウまでの距離は5m(!!)程度。でもご覧のように、くつろぎきっています。車を停止させた時は多少動揺が見られましたが、すぐこんな感じに戻りました。もちろん怖がって飛び立つようなことは一切起こらず。
 手前中央のハクチョウがこちらを見ていますが、強く警戒しているわけではありません。

 つまり当地の人間(およびハクチョウ)には、これが「日常」。

 でも都市部で生活する方にとって、これは驚きの光景かも。



11月13日(木) 知らなかった。こんな場所があるなんて... ──大学キャンパスの紅葉が見頃に──

 考えてみたら、そりゃ、そうだ。(理由は後述)

 今日は前任校で講義。混雑する時間帯を少し外したからか、往路の走行はとても順調。何と、平均走行速度52.2km/h(たぶん記録更新)で大学到着。燃費も20.9km/Lと、かなり良い。なお絶対に暴走していません。
 そんなことをしたら高速走行が得意な欧州車も、燃費はガクッと落ちます。

 教室内の準備はあっさりと終了。先週同様、配布資料の印刷もありません。なお次週以降の分のデータを今日お渡して原版を出力して頂いたので、来週は印刷する必要が。まだ時間があるので、カメラを手にキャンパスへ。
 最初に訪れたのは正面玄関
(1枚目の写真の右下付近)にある「ニュートンのりんごの木」。こちらは変化なし。

 この付近の木々は紅葉が進み、かなり落葉しています。そんな中、写真中央に植えられたイチョウの存在が際立っています。拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))
 近寄って撮影してみたのですが...なかなか画になりません。

 半ば諦めて進入路(写真左側)へ進むと、おぉ、1人の学生が道路脇にあるケヤキの紅葉を見上げながら、こちらに歩いてきます。これだけで一幅の絵画になりそう...ですが、撮影を断念。
 被写体の了解を得ていないので。

 そこで進入路からケヤキ──吹く風で葉が舞ながら落ちていた──とともに校舎を、続いて敷地外の農道から校舎やキャンパス内の木々の紅葉を撮影。
 ふと、狭いキャンパスなのに、ほとんど訪れていない地区があることに気づきました。

 具体的には南側の角地。教職員用の駐車場は対角線上にあるし、バスや徒歩でキャンパスに出入りする時も南側のこの場所は通らない。
 ここを訪れるのは何年ぶりだろう。

 でも「勝手知ったるキャンパスだから...」と思っていたら、甘かった。見慣れぬ、背の高い木々──「ユリノキ」とのこと──が立ち並び、それらがご覧のように見事に紅葉。拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))
 ちなみに背後の建物は、開学後に増築した「ニューエル館
(N館)」。

 それにしても、なぜ古巣のこれらの木々のことを知らないのだろう。近寄ってみると木の根本に「20○○年度入学記念樹」。なるほど、そういうわけだったのね。
 センセイの在職時は「入学記念樹」という慣習はなかった。

 だから知らなかった──卒業および退職記念樹は存在した──のです。またその後、紅葉の時季には訪れていません。もちろん、学生には良い記念になるでしょうから、異論はありません。
 講義開始時刻が迫ってきたので、2階のAV教室へ。

 角を曲がろうとした時、再びイチョウが視野に。その前を、冬の出(い)で立ちをした学生がキャンパスの外へ向かって歩いていきます。
 窓を開け、とにかく撮影したのが1枚目。
(従って、写真の撮影順は逆)

 周囲の木々が落葉している──何だかセンセイのオツムのよう──のが残念。でも事実なので、仕方ない。

 ちなみに今日の写真は「」望遠レンズで撮影しています。約20,000円で購入したことを考えると、非常に良いレンズだと思います。でも同時に反省点も。今日は「」広角レンズも持ち込んでいたのです。
 ただし鞄の中にしまい込んだまま。

 本来ならば広角レンズの特徴を生かして、もっと別な撮り方を試みるべきだったなぁ...。もちろん来週も両レンズを持参しますが天気がどうなるかはわからないし、木々の紅葉は確実に進んでいるし...。
 さて、遊びに訪れたわけではありません。

 挨拶してから定刻に講義を実施。今日は、全受講生を対象にして割とやり取り。倖いなことに講義は概ね問題なく終了。片付けも順調に進み、講義終了10分後には帰路に就きます。イチョウをチラリ。
 「新新バイパス」の車の流れも、概ね問題なし。

 だから帰路も...と期待したものの、甘かった。

 平均走行速度こそ20.4km/hとかなり速かったものの、燃費は19.4km/L。まぁこんなものなのですが、往路より確実に低下しています。思い当たる節があるとすれば後半、「中越」(新潟県中央部)でタンクローリーその他に続き、低速で走り続けたことくらい。
 でも、ま、いっかー。

 何より、ちゃんと講義をして無事に帰宅できたのだから。

 やれやれ、と思いながら血圧を測定すると、いわゆる「上」も「下」も正常値こそクリアしたものの、かなり高め。長距離運転の影響はあるだろうけれど主因はやはり、昨日からのストレスだろうなぁ...。

 トホホ。



11月12日(水) 「下」こと「弛緩期血圧」の方が体調を... ── 一人で実家の冬囲いをしました──

 午前、冬囲いをするために実家へ。

 去年もちょうど今頃作業しており、タイミング的にはそろそろだったのです。雪が積もるのはまだ1ヶ月以上先。でも雪が降ってからでは遅いし、冬囲いは防寒も兼ねているので。先週金曜日、両親を実家まで送り届けた際に相談する腹づもりだったのです。
 でも実家に入ると両親がともに、次々と無理難題を。

 タイプは異なりますが、二人とも自己中心的でマイペース。加齢もあり、もはや全体の状況を客観的に把握することが難しくなっています。そこでセンセイはストレス軽減のため、打合せをせずに帰宅。
 一昨日、母親から催促の電話が。

 もともと天気の関係で、今日作業するつもりだったのです。その旨を伝えて、今日は朝から準備。起動していたコンピュータをシャットダウンしようとしたところ、Windows 10のアップデートモードに。サポート終了後初の、拡張セキュリティ更新(ESU)が実施されたのです。
 どうやら前回は正規サポート最後の更新だったらしい。
(お詫びして訂正します)

 その時点で稼働していたのは64bitの実機2台(Mac miniとMacBook Pro)。両機のみその場でアップデート&クリーンアップし、仮想マシン2台(32bit)は帰宅後更新することに。予定より遅くなったこともあって、市内の通勤ラッシュはほぼ解消済。
 問題なく実家へ到着します。

 今までは県内に住んでいた弟が一人で、あるいは中心になって作業。でもこの春、彼と奥さんは他県へ転出。両親は、手伝いどころか口すら出さない。だから今年から、完全にセンセイ一人での作業。
 1枚目の写真は、作業開始前に実家の南西側を撮影したもの。

 この奥には仏壇や座敷、そして「茶の間」と称する客間があり、父親が「俺が生きている間は...」と、エアコン設置拒否を(のたま)った場所。
 このアングルでご紹介するのは初めてのはず。
拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))

 実家を造った親戚の宮大工も、施主である父親と同じ気持ちだったらしい。この南西側の冬囲いには、気合いが入りまくっています。実際には実家を立て終えてから現物合わせで造ったものですが。
 この面と比較すると、他はかなり見落とりします。

 「冬囲い」と聞くと、たいそうなものをイメージされる方がいらっしゃるかも。でも実際は支柱と固定用の小さな部材、そして嵌め込む板を運び、組み立てるだけ。
 されど支柱の多くが、太さ4寸
(≒約12cm)あるので、非常に重い。

 それを同時に何本か組み合わせ、固定用の部材を寄せ木細工のように嵌め込みます。この面に比べると西側や北側は手抜き気味。
 ある意味、棟梁
(とうりょう)の意外な人間らしさを感じます。

 怪我等もすることなく、無事に作業は終了。作業時間は2時間弱。右の写真は、すべての作業を終えてから同じ場所(南東側)を撮影したもの。拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))
 この間に、太陽は約30°西進しています。

 1枚目で木の陰になっていた玄関に陽が当たり、写真左側(=西側)にある低木の影は右へ。板を嵌めすぎると室内が暗くなるので、現在は最低限に。
 嵌め込んだ板は冬囲いの固定を兼ねているのです。

 やれやれと思っていると、父親からマイペースかつ非常に自己中心的な要望が。もはや鏡に映った自分の姿は見えないらしい。(ただしムラがあり、割と好々爺(こうこうや)の時も)
 この段階でかなり強いストレスがかかっており、もはや合理的な会話もできないので、長居は無用。

 母親が育てたダイコン等の野菜をもらって──センセイのマザコン度は相当低い──正午前に帰宅します。少し片付けてから徒歩で外へ。冬囲い作業中はかなり歩く(約3,500歩)ので、今日の総歩数は17,000歩を越えています。
 他方、かなり強いストレス。

 帰宅後、「高いだろうなぁ...」と覚悟しつつ日中の血圧を測定すると、確かに初回の「上」(「収縮期血圧」)は正常値を僅かに超えたものの、その後は正常値に。「平均」(「収縮期血圧」)の3回移動平均の最低)は121mmHgと、正常値の範囲内。
 ただし喜ぶのは早いと思う。

 いわゆる「下」(「弛緩期/拡張期血圧」)は正常値下限ぎりぎりで、最終的な「平均」は78mmHg。センセイの場合、収縮期血圧が割と高かったので、毎年の検診などでその点を指摘されていました。
 でも弛緩期血圧について問題になったことはありません。

 聞くところによる──だから確実な情報ではない──と、いわゆる上と下との差も重要らしい。実際、同級会でその差が非常に小さい方の話を聞いたことがあります。センセイは割と差があるのですが、その方は格段に少ない。
 だからびっくりしました。

 ところが最近、その差が縮小傾向。

 「上」よりも、フロアとなる「下」が上昇傾向なのです。ベースに加齢に伴う身体能力の低下があることは、受け入れざるを得ない事実。でもどうやら、ストレスの違いも血圧に関係しているのでは、と考えるようになりました。
 たとえば長距離運転など、誰でも納得できるようなストレスでは「上」が上昇。

 この場合、血圧は割と短時間で本来の値に。ただし今回のように、自己の内面にかかわるような問題だと、「上」だけでなく「下」も上昇するように感じられます。どうやら、ベースとなる体調の指標として相応しいのは、「下」こと「弛緩期(/拡張期)血圧」なのかも。
 こんなこと、あのマイペースで生きている2人には、無縁なんだろうなぁ...。

 ま、いいんですけど。

 なお帰宅後、Windows10の仮想マシン2台(32bit)もアップデートしました。現在のところ、不具合は確認できておりません。



11月11日(火) 何と今は、「レッドツェッペリン:ビカミング」!! ──高田は、奥が深い(2)──

 「町屋交流会館 高田小町」を後にし、本町通りを北へ向かって進みます。

 ...というより、20mほど歩いただけで斜向かいの様子が一変します。「高田世界館」と書かれた複数の看板とともに、その右奥に広場のような空間が。拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))
 古い航空写真から「空間」に町屋が存在していたことを確認できます。

 それはともかく、手前の空間に戻ります。看板の周囲を見渡すとポスターやチラシ、そして立て看板。中央のポスターは、おぉ、レッドツェッペリン:ビカミング」!!
 
中央のガラスに囲まれた場所に鎮座するのは映写機です。

 そう、ここは映画館「高田世界館facebook。でも写真左側に存在するのは通路らしい。建物本体どころかチケット売り場──実は通路の奥──すら見当たりません。
 もちろん、心配ご無用。

 本町通りをもう少し進んだところから振り返るような格好撮影したのが2枚目の写真拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))。1枚目の場所つまり映画館の入口が見えています。
 映画館本体は奥まった場所に。
(写真中央の白っぽい建物は隣の建物)

 「高田世界館」は1911年(明治41年)に芝居小屋として開業。その後映画館として用いられており、現存し、かつ営業中の映画館としては日本最古級とのこと。
 されど全国の映画館がそうだったように、1970年代頃からの映画産業衰退の波をモロに受けます。

 最後は成人映画館として存在していたのですが、老朽化の進行に加えて2007年の新潟県中越沖地震等で被災し、通常の形での営業継続が困難に。
 普通だったら新潟市の「名画座 ライフ
(3枚目の写真)のように、廃業、建物解体となるところ。

 ところが当館の場合、市民有志や映画ファンが主体となって「街なか映画館再生委員会」を発足させ、オーナーから館を譲渡して頂いた上で保存改修、そして活用へ。
 全国的には希有
(けう)な存在。

 歴史的な存在としてだけでなく、再生から活用──正確には「途半(みちなか)ば」──に到るまでの好例として全国から注目上越観光Navi新潟観光ナビを集めています。
 お気づきかと思いますが、この動きを支えていらっしゃるのは高田の方々
(+映画ファン)の強い意志。

 当然、どこまで残し、どのように活用できるかという問題は残りますが、旧高田市民の広い意味での「他者」──狭い意味に留まらず、歴史や文化など他の要素を含む──への敬意をひしひしと感じます。
 高田のご紹介は、もう少し続く予定。

 ただし、連続するかどうかはわかりません。悪しからず。

 なお帰宅後、Windows10の仮想マシン2台(32bit)をアップデートしました。



11月10日(月) まず目に飛び込んでくるのは町屋と、雁木通り ──高田は、奥が深い(1)──

 「がんぎ」と読みます。構造が「雁木造り」で、雁木が連なった通りは「雁木通り」。

 昨日の小川未明生誕地のご紹介は、良く考えると順序としては不適切だったかも。歴史を持つ「高田市」(現「上越市」)が先に存在して、そこで小川未明が生まれたのですから。
 そこで初めて訪れる旅人を想定して、改めて高田のご紹介を。

 時間が遡ったり下ったりして申し訳ないのですが高田地区を含む上越市は、新潟県西部を意味する「上越」地域の拠点。合併を重ねたため、現在は非常に広い区域を指します。
 でもその中心は海岸部の旧直江津市と、内陸の旧高田市。

 人魚伝説のところでもご紹介したように、両地区は成立過程や性格、人々の雰囲気が大きく異なります。直江津は古くから越後国の国府が置かれたところ。
 五智国分寺も建立されています。

 関川がここで日本海にそそぐため、海上交通──その後、鉄道の要衝にも──による物流や商業も栄えました。他方、高田は江戸時最初期に形成された都市。
 徳川家康の六男松平忠輝が高田城を築いてから、城下町として発展します。

 今なら上信越自動車道や北陸自動車道、あるいは国道18号線で高田を訪れる人が多いのでしょうが、ここは現在の「えちごトキめき鉄道」高田駅で下車したことに。
 旧国鉄高田駅は1886年
(明治19年)、市街地中心部を外れた場所に設置されました。(当時はこれが普通)

 高田駅の駅舎は、ほぼ真東を向いています。高田城や旧市役所(現「上越市雁木通りプラザ」)など市の中心部は右前方つまり南東方向に。
 駅を降りると目の前には広い「駅前通り」。

 儀明(ぎみょう)川を越えると、進行方向に大きな交差点が二つ。最初の交差点を右(=南)曲がると、アーケードを備えた今風のビルが連なっています。
 でもへそ曲がりのセンセイは、交差点を左折。

 最初こそアーケードが存在するものの、すぐに途切れます。代わりに、少し歩くと1枚目の写真のような木造「アーケード」が。ただし良く見ると、各戸の庇(ひさし)を道路側に張り出したものの集合体。
 これが「雁木」。
(日本海側の都市に複数存在するが、名称は異なる場合がある)

 もちろん雪深い地域で積雪時の歩行を容易にするためのものですが、現在は縮小の一途。高田および直江津の雁木通りは良く保存されている方。
 最盛期よりはずいぶん短くなっているものの、現在なお13km程度残されているとのこと。

 今さらの、それも再度のお詫びとなって申し訳ないのですが、説明を雁木から始めたことすら不適切かも。南側を含めて、この「本町(ほんちょう)通り」沿いに軒を連ねるのは「町屋(まちや/ちょうか。当地では「まちや」)」。
 店舗併設の都市型住宅です。

 概ね碁盤の目状に形成された道路と沿道の町屋そして雁木こそ、高田に関して最初に押さえるべきポイント。実際、半世紀以上前に高田を訪れた人の目に飛び込んできた姿だったはず。
 一部すでに言及しましたが、都市化の進展に伴い旧市街地中心部はビル化され、その前はアーケードに。

 雁木もどんどん短くなっています。それぞれのお宅の所有物なので人口減少に伴い家屋が解体されると、雁木も消失してしまうのです。
 正直なところ本町通り北部も、雁木は途切れ途切れ。

 人々の生活スタイルが大きく変わった現在、町屋や雁木を今後どうするかは意見が分かれるところ。他方、これらが「高田」のアイデンティティの一つであることについては、衆目の一致するところ。
 長くなりましたが、ここでやっと写真の説明に。

 上越市は、少なくとも一部の町屋および雁木を保存することに。1枚目の写真拡大写真(別ウィンドウ、1280×960))は旧「小妻屋」──2枚目の写真の下部に看板が見える──をリフォームして、「町屋交流会館 高田小町」上越市上越観光Navi新潟観光ナビに。
 2枚目以降の写真は、その内部。

 文字通りの交流会館で、無償あるいは低料金で多用途に用いられているようです。2枚目の場所では、当地の暮らしぶりや、冬季に雁木が果たした役割を説明。
 3枚目の手前は土間。もちろん現在はコンクリートで覆われています。

 その写真の左端に少しだけ写っているのが、右の「かくまき」拡大写真(別ウィンドウ、720×960)。「角巻」と記す場合も)。東北地方および北陸地方で、明治時代末期から半世紀くらい前まで女性がごく普通に着用した防寒具です。
 センセイが小学生の頃まで、女性は皆これを羽織っていたので、まるで昨日のことのように覚えています。

 当然ながら、初めて目にする方にはイメージしにくいと思われるので、長岡市の会社が現代風にアレンジした「かくまき」をご紹介しておきます。
 頭から被るのではなくスカーフ等で頭部を覆って、「かくまき」を肩から羽織るのが普通。

 ちなみに当時の子育ては今のような「だっこ」ではなく「おんぶ」。つまり背負うのが普通。その場合も幼児を背負った上で「かくまき」を羽織ります。

 長くなりました。町屋と雁木(通り)、そして「かくまき」については以上ですが、高田は実に奥が深い。

 間が空くかもしれませんが、高田のご紹介はもう少し続きます。



11月9日(日) 実に奥が深い街だ... ──上越市内、児童文学作家小川未明の生誕地を訪れました──

 先週ご紹介したばかりの「えちごツーデーパス」という企画乗車券を譲り受けました。つまり今日は、ローカル線乗り放題。

 「早起きをしない+日が短くなっていることもあり早めに帰宅する」という条件を考えると行動範囲は県中部から西部つまり上・中越地方に限られます。本当は妙高高原を訪れたかったのですが、問題が。
 昨日までとうって変わり、今日は天気が悪い。

 妙高山こちら(2枚目の写真)やこちらなど高い山々は見えないと思われるので、第一案はあっさりと廃棄。雨が酷いようであれば列車に乗っているだけの案すら検討したのです。でも予報にはばらつきがあり、多くは「雨時々曇」との予報。
 でも日本気象協会は、「小降り」。
(結果は、協会の予測通りだった)

 降り方は後者に近いはずと判断しました。そこで比較的短時間で行き来できる初めての場所を訪れることに。具体的には上越市の高田駅(旧「高田市」)で下車し、同地出身の童話作家小川未明の生誕地およびご縁のあった場所を訪れる。
 南高田駅まで乗車する案も考えたのです。

 そこから北へ向かって歩けば、「小川未明文学館」上越市上越観光Navi新潟観光ナビも経路上。ただし生誕地と文学館は、駅や旧高田市中心部を挟んだ反対側に。
 つまり移動に時間がかかります。

 便利な便には間に合わないし雨の問題もあるので、今回は生誕地探訪に限定。そもそも、なぜ小川未明なのか。

 愛車の整備を地元の自動車店──と言っても、30km離れている──にお願いするようになって以降、上越市特に大潟町の人形伝説に触れる機会が増加。
 程度はともかく、小川未明や人魚伝説についてはある程度承知していたのです。

 でもマンホール人魚塚伝説の碑人魚塚潟町駅だけでなく、旧直江津市「舟見公園」の人魚像まで実際に目にすると、この地で生まれた小川未明に改めて興味が。
 数年前、彼に関する報に触れたような気がしたからかも。

 倖い、雨は概ねパラパラと当たるかどうかくらい。小川未明の生誕地は高田駅の北北東約1km。以下、訪れた順。まずスーパー(写真奥)の道路を挟んだ反対側に、未明の芸術信条を刻んだ石碑が。
 中央の碑には、「弱き者の為に立ち 代弁なき者のために起つ 我これを芸術の信條となす」と記されています。

 ここは生誕地の一部。細長い敷地には民家が建っており、迂回する格好で一周した場所にあるのが右の写真。ごく簡単な略歴が記されています。
 今回初めて知ったのですが、これらの設置は2022年。

 ...最近だったのね、

 時間の関係もあり、概ね高田駅方向を目指しながら周囲を歩きます。ご縁あって大学生の頃に旧高田市をしばしば訪れていました。
 知見および経験不足のその時ですら感じていたのですが高田は、本当に奥が深い。

 自らの不明を恥じ入るばかり。というわけで今後、上越市高田地区を時々ご紹介させて頂こうかと考えています。途切れ途切れになると思いますが、その点はご了承を。
 なお帰路、高田駅を発った電車内から、冠雪し光を浴びているた妙高山の山頂付近を望むことができました。
(ただし撮影する余裕はなかった)

 つまり基本的な天気の読みにも失敗したという情けなさ。

 トホホ。


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